1. |
スジ(Sources)
02:42
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夜に雨が降るよ、と
のっぺらぼうな声がする
無防備な後部座席からの報せ
これは、信用できるスジだ
「UFOを見たことがある」
目を見開いてNが言う
一秒で牌を切るあの目と同じ
これは信用できないスジだけど
どこか騙されたい、今は
夜に雨が降るよ、と
薄い目をしたAが言う
一秒で牌を切るあの目と同じ
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2. |
たった一本(Alone Like a Fork)
02:29
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強情っ張り電柱 居丈高な 突き刺しも切り
もできない フォーク 反乱たった一本 た
った一本 通り過ぎて 封鎖されて スピー
カー 窓越して放るたとえ曇天でも デリバ
リー淡いで 淡いで稼ぐ密度 少しく グラ
ウンド 林立する足 また 足 のびていか
ず 踏み込みひとつ 滑って 滑って尚 ア
ップライト 早く 抗議する クイックです
回ってくるターン 広義に僕の まだ曲げる
には諦めるには早く 早く でもクイックに
できない フォーク 反乱たった一本 たっ
た一本 通り過ぎて フォーク 反乱たった
一本 たった一本 フォーク 反乱たった一
本 たった一本 通り過ぎて フォーク 反
乱 フォーク 反乱たった一本 たった一本
通り過ぎて
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3. |
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一度出た正門へまた帰ってくる
数時間前とは違う顔をした友達は
気恥ずかしさを暗がりに巻いて
新しい距離を測っている
夜露がアルコールのように
さらけ出した手足を湿らせると
影だけが
朝礼台の方へ駆けていく
ママさんバレーの夜
赧らんだまま裏返る
顔がふたつ
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4. |
音楽(Echoing)
03:42
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風呂の白い湯気が
煤けたサッシを通って
ビブラートする、夕景
くぐもった時間の中で
音楽のように鳴っている
僕の見えない川
裏か表かの水面
トークバック、遠くから
足元で漂う、サラウンド
音楽のように鳴っている
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5. |
北欧BLACK(Hokuo Black)
02:05
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久しぶりに食べ過ぎて
吐きそうになった日
友だちが声を挙げて
投票に行った日
胃を落ち着かせるために
缶コーヒーを飲んで
二人の名前を選んで書く
名前を並べる相手は
僕にもいるのだろうかと考えて
君の顔を思い出す
帰り道
指についたコーヒーの色は
「北欧BLACK」なのに
何故か白かった
甘くはなかったけど
割と白かった
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6. |
BS
01:52
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7. |
最初の米(In the Small Altar)
03:16
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最初の米を炊く
水の煙が立つ
西日に浮かぶ
砂埃のように
暖簾の向こうに
座っているのは
僕によく似た人
キープできない
燃え残るボトル
再開発のプラザ
六角堂の角が
人知れず増えて
あたらしい残響
何音かは外した
ウチなりに踊った
きれいな扇子の
裏か表なのに
今もCブロック
噛合わない凹凸
最初の米を炊く
食べられない
最後ではない
最初の米だ
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8. |
ぽっち(A Dot)
02:49
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水平線にぽっちがある
犬を連れて深い夜
いくつかの名前
またつけ直せる
いつかいなくなる
ぽっちがある
触れるかも知れない
コンピュータに向かって
話しつづける
クリックできない
ぽっちがある
踏まれてしまった
辿り着かれてしまった
何週目かの地点で
よく見てみれば
まだそこにいる
今日のところは
水平線にぽっちがある
奇天烈たい!
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9. |
ニューライン(New Lines)
02:23
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毛を逆立てたゴタゴタも
次の日には、ニューライン
案外大したことなかったね
窓を叩いて鳴らした台風
ガラスに一筋、ニューライン
登下校する学齢を
数えてみれば、ニューライン
帰路に着くには早すぎる
白いヘルメットにも一本
付け足してみる、ニューライン
何周目かで横並び
わたしたちの、ニューライン
返ってこない手紙を折って
遠くから飛ばしてみれば
よれてはいるが
風をなぞって、ニューライン
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TETRA RECORDS is the indie-label in Tokyo which formed by Siamese Cats
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